他の中小企業診断士受験生のブログやツイートなどを見ていると、「経営情報システム」を苦手としている人が多いこと気づく。
前にも書いたけど、自分は経営情報システムが得意なので、本当は「こうして勉強すればいいですよ」とコツを伝えられればいいと思う。しかし、正直言って、あまり勉強していないのに最初から得意だったので、「どうすれば得点がアップするのか」は、よくわからない。そのため、苦手な人向けのアドバイスはできそうもない。すみません。
1次試験問題の3タイプ。知識系問題は広く浅く当たっておくこと
ところで、経営情報システムに限らず、中小企業診断士試験(1次試験)の問題は「知識系」「手順系」「パズル系」の3種類に大別できると思っている。
知識系とは、「◯◯は何か」というそのものずばり聞かれるもので、知っていれば即答できるし、知らなければ答えられない。典型的なのは、中小企業経営の、統計数値を答える問題だろう。ただ、普通に勉強をしてきた人なら、「今まで一度も見たことも聞いたこともない」という知識が問われることは、あまりないと思う。
「これ、どっかで見たことあるけど、なんだったっけな」
「選択アか、イのはずだけど、どっちだったっけ?」
みたいに、あいまいな記憶になってしまっていて迷うということがほとんどだろう。この場合、正確に記憶していなくても、記憶の「ひっかかり」があると、問題文(選択肢)自体がヒントになって知識を思い出して選択肢を絞り込めることが、意外と多い。
少なくとも、2択までは絞り込めれば、確率は5割だ。確実に得点できる問題が20点分だけあれば、残りの80点分を2択まで絞り込めれば、確率的には計60点が取れる。悪くても足切りにはならないだろう。そう考えると、知識系問題はなるべく正確に記憶しておくに越したことはないが、正確さを追求するよりも、できるだけ多くの知識に「広く薄く」当たっておくことも、大切だと思う。「どっかで聞いたことがあるなあ」という「ひっかかり」をたくさん作っておくということだ。
それでも、一度も見たことも聞いたことがないワードが問われたときは、それは他の受験生もみんな知らない難問だから、捨て問だ。
基本的に、手順系問題の方がやさしい
次に「手順系問題」。これは「財務・会計」のNPV計算や、「経済学」の利潤最大化問題など、解法・手順を知っていれば確実に解ける問題だ。範囲が狭く、問われる手順はほぼ決まっているので、基本的に知識系問題よりやさしい。たとえば「財務・会計」では、知識系問題が多いアカウント分野より、手順系問題が多いファイナンス分野の方が易しいと言われる。
ただし、知識系問題とちがって、選択肢自体をヒントにして絞り込むことは、まずできないので、正確な知識が必要だ。また解くのに時間がかかることも多い。そのため、何度も繰り返し反復練習をして、確実に手順を身に付ける必要がある。「経営情報システム」なら、SQL文やビットレート計算などが典型的な手順系問題となる。
パズル系問題は時間の見極めがポイント
最後に、「パズル系問題」。これは、その教科の知識と関係なく、また公式のように何度も使われる手順も存在せず、設問条件から何らかの法則性などを自分で見いだして、その場で解法(アルゴリズム)を考える問題。たとえば、「運営管理」の平成29年第19問などがこれにあてはまる。
この手の問題は、前提知識がなくても解けるので、勉強不足の人にとってはむしろサービス問題だとも言えるが、はまると時間がかかる。すぐに解けそうか、時間がかかりそうかの見極めが大切だ。基本的には後回しにして最後に余った時間で解くのが吉だろう。ちなみに、私はわりとこの手のパズル系問題は好きである。
経営情報システムでも手順系問題は確実に取りたい
話を経営情報システムに戻すと、残念ながらこの科目は知識系問題が中心だ。だからやっぱり広く浅く勉強をして知識を定着させるしかない。
ただ、手順系問題も多少は出される(SQL文、表計算ソフトの基本書式、ビットレート計算、キャッシュのヒット率計算など)。暗号方式(公開鍵暗号、セッション鍵方式やSSL)のプロトコルなども、手順系問題だろう。少しでも確実に点を重ねたいなら、手順系問題だけは絶対落とさないようによく練習しておいた方がいい。特にSQL文は頻出で、しかも問われる範囲が狭いので、ここで落とすのはもったいない。
SQLはシミュレートできるサイトで実際に動かしてみるのがいい。下記のようなサイトが参考になる。(下は「SQLZOO」の日本語解説)
こういったサイトで実際に手を動かしていると、定着が早いと思う。1日やれば十分だろう。
非機能要求グレードは出目あるか?
先日TACの答練では、IPAの「非機能要求グレード」が出題された。気になってIPAのWebサイトを調べてみたら、つい先日(4月)に改訂版が出されていた。答練で出題されたのも、今年改正のネタだから、出題の出目も多少あるということかもしれない。IPAは経産省関連の団体なので、同じく経産省を親とする中小企業庁とは、親戚みたいなもの。他の団体の規格よりは出目の可能性が高いという判断もありそうだ。
「非機能要求グレード」について、全部を理解する必要は無いが(私ももちろんしていない)、パンフレット「非機能要求グレード2018利用ガイド[活用編]」は、事例が読み物形式になっており、システム開発というものについて、けっこうわかりやすく解説していると思うので、読んでおいて損はない。とくに経営情報システムが苦手で、「システム開発・運用というのがどういうことをするのか見当もつかない」という方にこそ、一読をおすすめする。
なお、「ITSS+」も4月に改正になっているが、こちらはまだWGで検討している段階で固まっていないので、ちょっとわかりにくい。私はスルーする。
古い情報よりも最新情報をチェック
IT分野は進歩が速いので、この科目に関しては、過去問はあまり古い年度まであたる必要はないと思う。古い過去問には、現代の感覚から見るとおかしい感じがする問題とか、状況が変わっているので「いまどき、こんなの絶対使わないよ」という問題も多い。そういう問題を定着させても無駄だろう。
時間に余裕がある人で5年さかのぼればまず十分で、時間がなければ3年でもいいと思う。その代わりに、受験校の答練や模試などで、最新のIT状況を反映した問題に多くあたった方がいい。あわせて、社会的に大きな影響のあるITトレンドは押さえておくべき。たとえば、今年は(ちょっとコケたけど)「ブロックチェーン技術」は、一応可能性は高いと思う。あと、IoT、AI/RPAあたりは、まだまだ可能性はあるんじゃないだろうか(といっても範囲は広いが)。「3Dメガネ」が出ることはたぶんないだろうな(しつこい)。