経営情報システムでたくさん出てくる英字略語の覚え方など

「経営情報システム」では、英字の略語がたくさん出てくる。中小企業診断士試験の1次7科目のうち「運営管理」など、他科目でも英字略語は登場するが、この科目は特に多い。

よく言われることだが、英字略語はその内容に加えて「原則的に」元の単語も覚えた方がいい。99%のケースでは、その方が絶対に理解しやすく覚えやすい(たいして難しい単語は出てこないし知らない単語が出たら、逆に英語の勉強になる)。

たとえば「IDS」と「IPS」みたいにセットになる語は、略語だけでは、どっちがどっちかすぐわからなくなってしまう。しかしちゃんと「detection」(検出)と「prevention」(防止)を覚えておけば、絶対に間違えない。

また、「Ajax」は「Asynchronous Javascript+XML」だけど、Asynchronousは「非同期」という意味だ。だから、正式名称を覚えておけば、試験問題の選択肢の中に「非同期」という言葉があったらそれだけで、「これはAjaxのことかな」とアタリがつけられる。

試験対策上は、例外もある

ただし「原則的に」と書いたのは、中には例外もあるからだ。たとえば、CSMA/CACarrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance。長くて覚えにくい上に、日本語の訳語が「搬送波感知多重アクセス/衝突回避」なので、覚えたとしても、なんじゃこりゃ?となるだろう。

そして、この語の場合、ほとんどが、CSMA/CD方式との違いを問われる形になる。だから試験対策上は、CSMA/CD方式との違いを区別するために、最後の「D」=Detectionと「A」=Avoidanceだけ覚えておけばいいのだろう。つまり試験で問われやすいところだけを覚えておくということだ。

もちろん、そういう覚え方だと、もし語の前半(CSMA)の部分でひっかける問題が出たら、コロリと間違える。でもそれは難問珍問の類で、その場合は他の受験生もたぶん間違えるからあまり気にしなくていい。

読み込めば忘れにくい

略語は単なる記号だが、原語は「ことば」である。無機質な「記号」を覚えるより、生きている「ことば」を覚える方が単純に面白いし、使い回しも利く。

無線LANの(最初の?)暗号化通信規格が「WEP」だけど、これは「Wired Equivalent Privacy」の略で、「有線と同等の機密」という意味だ。面白いよね。無線だけど、有線と同じくらい機密性が保てるよ、というのをそのまま名前にしてしまった。名付けた人の自信と誇りがうかがえる。

ところが、WEPにはあっけなく脆弱性が見つかって、「どこが有線と同等じゃ、だだ漏れしてるやんけ、ごらー」と怒られて、廃れてしまった。

で、その後継として登場したのが「WPA」方式。「WEP」が「Wired Equivalent Privacy」なのだから、その後継の「WPA」は、「Wired Privacy なんちゃら」だよね、って思うじゃないですか、普通。

ところが、「WPA」は「Wi-Fi Protected Access」(保護されたWi-Fi接続)。「W」も「P」も変わっちゃったよ(笑)。名付けた人に理由を聞いてみたいくらいだけど、先輩が「有線同等」なんて大風呂敷を広げて恥をかいちゃったもんだから、ちょっと控えめにしたのかな? なんて勝手にストーリー化(妄想)すると楽しい。

こんな感じで、文字だけだと似ていて紛らわしい「WEP」や「WPA」も、生きた「ことば」として読み込んで覚えておくと、忘れられなくなる。

もっとも、「経営情報システム」だけでも出てくる略語の数は多く、他の科目もあるのだから、ひとつひとつを丁寧に読み込んでいくことは時間的に無理だろう。だからそれはできる範囲でかまわないだろうが、少なくとも原語をあわせて覚えておくのは、絶対におすすめできる。

(参考)ちなみに、現在の無線LAN暗号の標準である「WPA2」には、2017年の10月にセキュリティホールが見つかっている。過去にはOpenSSLに発見されたセキュリティホールに絡んで出題された実績がある(H27年第21問)ので、2018年の本番試験では、このWPA2の脆弱性に関連する出題が狙わる可能性が高いと予想している。さてどうなるか?

よく出る略字のパターンを押さえれば、ある程度類推も可能

ところで、最初の方で書いた「IDS」の「D」と「CSMA/CD」の「D」は、どちらも「detection」(検出)だ。このように、情報システムで出てくる英語には、頻出単語もたくさんある。これは、同じ領域(情報システム)での仕組みや概念を表すさまざまな語なのだから、当然と言えば当然だ。

「P」とくれば、Protocol(TCP、IP、HTTP、など)
「L」とくれば、Language(HTML、SQL)
「I」ならだいたいInfomationか、Internet
「S」ならServiceかSecurity、Systemかな?これはちょっと種類が多め。

こんな感じで押さえておくと、もし知らない語を見たときにも推測できる可能性があるかも。(もちろん外すこともあるので、原語を覚えておく方がベター)。

困ったら「本職」に聞け!

略語とは違うが、いやらしく似ていて覚えにくい英語もある。私が苦手なのは、障害対策で出てくる「フォールト、フェイル、フォール」だ。

フォールトトレランス
フォールトアボイダンス
フォールトマスキング
フェイルソフト
フェイルセーフ
フェイルオーバー
フォールバック

原語の「Fault」と「Fail」 自体が、意味も音も似ている上に、それぞれが類似や対の概念なので、どうしても混乱してしまう。

調べてみると、本職(?)のIT系資格受験者でも、このあたりは苦手にしている人が多いらしく、覚え方などをまとめたサイトがいくつかヒットする。たとえば下のようなサイト。

https://ameblo.jp/sato568/entry-10841672664.html

http://www.ap-siken.com/bbs/0243.html

略語の話とはずれるが、「経営情報システム」では、学習のソースとして「本職」のIT系資格(基本情報技術者、応用情報技術者など)のテキストや解説書、Webサイトにあたった方が、くわしくてわかりやすいと思うことがよくある。

TACのテキストで悩んだら、本職系のソースに当たってみると解決できるかもしれない。

ブックオフなどで、IT系資格のテキストを1、2冊買っておくと便利。写真のように少し古い年度のものなら200~500円くらいで買えるし、それで十分。

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コメント

  1. はち より:

    略語の正式名前確認し、対応される冷静さ、すばらしい❗

    こちら、情報アレルギーでございます。

    まだ、講義さいごまで視聴してないので、まず、ここからクリアせねば

    法務は地元の校舎のおじいちゃん先生が、これがなかなか良い出汁と味わいと旨味を出してくださり、
    割と楽しく学習スタートしました。

    明日が頻出論点の相続などありますので、こちらで理解できそうなら、しばらく渋谷はお休みします
    百軒店さんと気があいそうな、雰囲気の方ですよ

    • 百軒店 より:

      はちさん、こんにちは。

      経営情報はテキストの後半が大変ですけど、ガイドライン関係などは、費用対効果が低そうな部分でもありますので、あまり時間をかけないで流した方がいいかもしれないです。過去問を見ても、近年は難しい問題がいくつか出されていますが、本番では60点クリアのためには、苦手であるならとくに、そういった難問は捨てて、基本の取りやすいところを固める方がよいと思います。

      近くの校舎でフィーリングの会う先生がいると助かりますよね。私も、池袋の講義も出てみようかと思っています。

  2. はち より:

    そちらの法務講義はどんな感じですか?

    こちらは、進行テキスト通りですが、イメージしやすく話してくれてますので、理解はしやすいですが、
    やはり法律用語、トレーニングをすかさずやらないと瞬く間に忘れます(笑)

    • 百軒店 より:

      はちさん、こんにちは。池袋はいい感じですよ。
      ほんと、法律用語は字も難しいし、まぎらわしい語も多くて、なかなか覚えられません。
      経営情報より、法律の方がずっと難しいです!