勤めている会社の業績がこの1年で急速に悪化している。いろいろ事情があるのだけど、ここでは書けない。
最初は、社長から給与の減額を打診された。それは仕方ないであろうと私を含めて社員全員が思い受け入れた。ただ、当面の緊急対応として給与減額は仕方ないとしても、その一方で、その現状を打開するための戦略なりビジョンなりを示して欲しいと思った。が、それが示されないことが気がかりだった。
社長の経営方針(?)は、一口で言えば「営業をがんばれば仕事は取れる」ということだけで、零細企業ならどこでも似たようなものかもしれないが、明確な戦略といったものはもともと無い。ドメインだとかSTPといったことは、明示的には考えたこともないだろう(なんとなく雰囲気では存在しているが)。リソースベースドビューと言えば言えるが、要は「うちはこれしかできないから、がんばってこれを売る」というだけのこと。
そうこうするうちに、さらにドラスティックなリストラ案が「相談」されるようになった。「現実に金がないのだから、とりあえずその出血を手当てしないとどうしようもない」ということで、それはそうなのだろう。が、後ろ向きな話だけが続けば、社員のモチベーションも下がる一方である。
間に合わないかも、とも思ったが
もともと、私が診断士資格の取得を目指したのは、自分自身に付加価値をつけようと思ったことが主な理由であるが、それとともに会社の事業にも付加価値を生じさせられるだろうと思っていたからだ。
業界全体がレッドオーシャン化して競争激化していくなかで、明確な優位性を持っていない会社では業績の低落は避けられまい。一方、診断士の資格を持つ社員が、経営分析や事業分析のコンサルをしながら顧客提案をしている同業他社はほとんどない。だからそれができれば分かりやすい付加価値になるはずだ、と考えていた。
しかし、思った以上に急速に会社の業績が落ちており、仮に私がストレートで診断士試験に合格したとしても、もう手遅れかもしれない。
と思ったのだが、よく考えてみると、手形の振出しはしていないから、銀行取引停止=いわゆる「事実上の倒産」になることはない。金融機関からの借入はあるが、へんな筋からの金は引っ張っていないはずなので、返せないなら開き直ってリスケすればいいだけだ。リスケなんて、めずらしくはない。
リスケすると新規融資は受けられなくなるが、2年連続で赤字決算なので、もともと新規融資は無理だろう。もちろん社長は連帯保証をしているが、物的担保を取られているわけではないから、リスケをして困ることはなほとんどない。金融機関は貸倒引当金を積まなければならないから嫌だろうが、それが彼らのビジネスだから仕方ない。
それに社長が言うとおり、必死で営業すれば業績も多少は上向くだろう。だから抜本的な事業構造の転換をしなくても、長期低迷のまま続けていくことはできるのかもしれない。それが良い事かどうかは別として。